【人とのご縁を紡ぐ】

新緑の眩しいこの時期はそら豆が美味しい季節だ。

緑色でツヤツヤした立派な姿は豆の王様のような雰囲気がある。

はじめて下ごしらえしたとき、豆を取り出してみると大きい割に中には2、3粒しか入っていない。

山となったサヤの割には中の豆が意外に少なかったことにびっくり!

そんなそら豆を調べてみると世界6大マメの一つらしく、中華調味料の豆板醤にも使われていることをはじめて知った。

そんなこと、知ってる人から当たり前だろと言われそうだが、気まぐれでキッチンに立つ自分の知識はそんな程度のもので、いつも新しい食材に触れる度に新鮮な気持ちで料理を楽しんでいる。

 

見学会に来られた方からたびたびアフターフォローについての質問を受ける「工事完了後、何かあった時は来てもらえるんでしょうか?」

「何か?」とは住まいの不具合や設備の故障だと思うのだけれど、質問される皆様一様に工事が終わればご縁が切れて面倒をみてもらえないのではないかと心配されているようだ。

 

以前はこんな方もお見えになった「自分達夫婦はこの土地に知り合いがいないので(共に愛知県外のご出身)、この地元で住まいの面倒みてもらえるような工務店さんがいたらと思って今回来ました」と。

 

皆、工事だけを求めているのではなく、その後も繋がるちゃんとしたご縁を探しているのかもしれない。

ちなみにカミヤスタイルは工事後にももちろん駆けつけます。

 

そら豆と一緒に届いたツタンカーメンで作った豆ごはん

 

祖父、父の代からお付き合いさせて頂いているお客様から仕事のご依頼を頂く。

その家を建てた代の方はもうお見えにならないことが多いのだが、そのご家族の方がリノベやリフォームしてまだ住み続けてくれるというのだ。

あるお宅で、工事前調査の際に屋根裏部屋に上がらせてもらうと、今では中々見ることができないひと抱えはありそうな太い丸太でしっかりと小屋組が組んである。

その丸太を組み上げた祖父はもういないのだが、その仕事ぶりを見ると身が引き締まる思いがする。

祖父が生きていたころ、手刻みで丸太を加工していた時の話。

「最近上手になったな」と祖父。

「作業をしてる姿を見ていないのにどうしてわかるの?」と私。

「鑿を叩く音を聞けばわかる」

時代を超えて祖父や父の仕事を評価してお仕事を任せてもらえるご縁に、ただただ「ありがとうございます」という言葉しかない。

OB宅 年月を感じさせる屋根の小屋組、男性が一抱えするほどの太さがある。

 

先日、一通のLINEを頂いた「明日の夕方着で野菜を送りました、そら豆の殻は硬いですが味は良いです。早めに食べて下さい」

送り主は「城下町のベジタブルベース」に暮らすOB施主様。退職後は仕事のごとく畑に通うセミプロ農家のような生活をしている。

どんなに畑が好きかといえば、マンションリノベーションの際数少ないご要望に「耕運機を収納するスペースを造って欲しい!」というのだからどれほどかご想像がつくでしょう。

先日の春祭りには「これからの暮らしをつむぐ家」のお客様とご一緒にお邪魔して昼食をご馳走になり、楽しい時間を過ごさせて頂いた。

このマンションリノベーションをさせて頂いたキッカケは、ポスティングしたチラシから。

それまでは、全くご縁の無かった方です。

縁とは不思議なもので、こちらが「こんなご縁が欲しい」と思って頑張っても繋がらないものもあるし、自分とは全く関係ないところからフッと繋がるご縁もある。

残念ながら力不足で全てのご縁を繋ぐことはできないかもしれないが、繋がったご縁は大切にしていきたい。

これからは、そら豆を見る度に施主様の姿を思い出すのだろうと思う。

 

黄昏に畑で立つ施主様