【木のマンションリノベーションを始めた想い】アップデート版

8月に予定している、木のマンションリノベーション見学会「城下町ベジタブルベース」に合わせ以前のブログをアップデートしました。

見学会は終了しました。

実際にマンションリノベーションをされたお客様宅に訪れた話、その後の造り手である自分の考え方など追加してあります。

少しでも、木のマンションリノベーションをお考えの方のお役に立てたら幸いです。

神谷建築のこと

 

神谷建築は約70年、祖父の代では和風住宅、父の代まで戸建てを中心に大工として木造注文住宅のお仕事させていただきました。

(以前、妻が書いた神谷建築の歴史①神谷建築の歴史②で少しご紹介させて頂いています。)

3代目になる私からは今までの経験を生かし、お施主様の気持ちに寄り添い 自分自身も大好きな本物の木に囲まれた暮らしの家づくり、”カミヤスタイル”を始めています。

 

そんな代々、戸建中心だったのに何故マンションリノベーションを始めたの?と聞かれることも多く、今回はそのきっかけと想いをブログにしてみました。


~近所にスーパーが無くなった!~

 

私達は愛知県刈谷市に住んでいます。

田んぼも多く自然もまだ残る場所ですが、ここは豊田自動車創業の地でもあり、日本でも有数の物づくりの街です。

そこで祖父の代から木の家づくりを専門に仕事をしてきました。

数年前までは家の近くに地元のスーパーがあったのですが、近隣に大手スーパーができ惜しまれながら閉店されました。

 

その時はそのことを何も思わずにいましたが、子供も巣立ち自分も50代に近づいてきたある時、妻とふと こんな話になったのです。
「今は車が乗れて買い物など何不自由無いけど、私達車に乗れなくなったら買い物難民になるよね。」

そう、自宅から徒歩圏内に食品を買えるスーパーが無いのです💦(大型の薬局さんとコンビニはあります。)

町内には軽トラの移動スーパー”とくし丸”も巡回しているよう。

もう、過疎の村のような状態です。

 

移動スーパー:とくし丸です。
地域の見守り隊としても役目を果たしてくれている様です。

 

これからの時代はネットで何でも買えるから大丈夫という意見もあると思いますが、食品、特に生鮮食品などはやっぱり自分の目で見て選んで買いたい。

 

子供が近くに住むとは限らないし、いつか家庭を築いた時にも負担を掛けたくない。
元気な限り、できるだけ自分達の事は自分達でやりたい。

 

この先のことを色々考えていると、将来は駅近くなど公共交通機関やスーパーが近い所に暮らした方が良いのではないかと思うようになりました。

 

けれど、利便性の良い駅近は土地も高く、戸建てよりもマンションのほうが現実的に考えて暮らし易いのかも。

しかし私自身ずっと戸建住宅に住み、大工としても戸建の注文住宅だけ造り続けてきたので、マンションでの暮らしは全く想像つかないし、住もうと思った事もない、マンションでの仕事もしたことがない・・・

そんなところから、カミヤスタイルの木のマンションリノベーションは始まりました。

 

大工になって初めて上棟式を、親方(父)に教わりながら行った時の様子。30代の前半だと思います。

 

【住み手が住まいに合わせる】既存分譲マンション選び

 

「駅近という利便性、マンションの耐震性、一戸建て住宅に住まうことでの様々なメンテナンスの煩わしさ」などを考えて、住まい選びはマンション一択という方も沢山おみえだと思います。

 

マンション選びをする際、内装やキッチン、浴室などの設備機器などのメーカーや、そのほか商品グレードなどの違いはありますが、余程の高額物件でない限り間取りなどは似たものが多い印象です。

 

注文住宅という言葉はよく聞きますが、注文マンションという言葉は聞いたことがありません。

 

暮らし方は千差万別なのに間取りはほぼ同じ、マンションは完成物件を見て納得し購入するものなので、住まい手が住まいに暮らし方を合わせるしかないのです。

 

それで不満が出ないはずはありません、皆家族構成も暮らし方も違うのですから・・・

 

マンションの住まい手とお話をしていると、ご不満のワースト3に上がるものがあります。

・特に玄関、北側の部屋、廊下が暗い

・暑い、寒い(部屋によっての温度差)、結露

・とにかく収納が足りない

同じ間取りが多いので、ご不満も似たものになるのかもしれませんね。

 

マンションの代表的な間取り、中廊下タイプ。

マンションの利点

 

では、マンションには良いところは無いのかといえば、もちろんそんなことはありません。

「比較的耐震性、気密性、耐用年数が高く、利便性が良くて、人気のエリアであれば資産価値も下がりにくい」などがマンションの利点です。

 

また躯体構造にもよりますが、マンションの多くは部屋の内部に構造的な柱や壁などが無いものが多いです。

ということは、 木造の戸建住宅以上に間取りの自由度があり、住まい手の理想に合わせた住まいを造ることが十分に可能です。

 

木の家は戸建てだけのものなの? マンションで木の家に暮らしたい。

 

マンションリノベをスタートさせる以前に、共働きでマンションにお住まいの方にお問合せを頂き、お会いする機会がありました。

 

「中古物件でマンションを購入した際に、憧れていた木の空間にリフォームしたのだが、どうにも居心地が良くないので何とかしたい、休みに仕事の疲れを癒せる住まいにしたい」

 

特に奥様が強く暮らしへの想いをお話し下さいました。

 

お部屋は既存の間取りのままリフォームをされていて、木の無垢材の床、壁を珪藻土塗りなどの自然素材にしてありましたが根本的な暮らしやすさの改善にはなっていない印象でした。

それでも、それなりの金額をかけてリフォームされたのは十分にわかります。

 

ご相談は改修での方向で進めたいとのことでしたが、 間取りの改修を伴わない工事は、根本的に今の暮らし方を変えたい方への正解にはなりません。

何度改修をしても不満は解消されず、工事費用のみが積み重なるだけの堂々巡りになるのです。

木の戸建て以上の空間目指した「木のマンションリノベーション」

 

マンションリノベを手掛ける際に決めたこと、それは唯一無二の「木のマンションリノベーション」を造ること。

 

・華美な豪華さではなく、時間の経過で陳腐化することのない住まい

・住まい手の暮らしに合わせた間取り

・マンションの利点である気密性を活かした24時間全館空調「除湿型放射冷暖房 PS」を設置することで温度、湿度対策にも対応

・暗い、風通しが悪いこと、収納不足などの問題は空間を活かした設計で解消

 

ですが、それよりもお伝えしたかったことは「マンションでも木の家に暮らすことができること」なのです。

 

木のマンションリノベーション「城下町ベジタブルベース」 キッチン

 

施主宅へ〜その後の暮らしを訪ねる

 

造り手として、リノベーション後の住まい手を訪ねるのは本当に楽しみな時間です。

住まい手から暮らしのお話しをお聞きするのは、自分の仕事の通知表をもらうようなものです。

自分で最高の住まいを造ったと思っていても、その住まいを評価して暮らしていくのは住まい手なのですから。

 

お客様から「リノベーションをしてから夜外食することがほとんど無くなった」、「全館空調にしてからは、快適さの目安が温度よりも、湿度になった」など様々なお話をお聞きします。

フルリノベーションを検討されているお客様をお連れした時なども、今の暮らしを嘘偽りなく楽しそうに検討中の方にお伝えして下さるので、その時の私はほとんど何もお話しをすることがありません。何も言うことがないのです。

 

何度も何度もお伺いしているのですが、徐々に住まい手の色に染まる家を見ていると、次訪れた時はどうなっているんだろうと楽しみなります。

 

家づくりを完成させる隠し味は、住まい手のスパイスなんです。

 

家づくりが終わっても、交流を続けてくださるOB様には感謝の気持ちしかありません。

 

これからのカミヤスタイル

 

今まで仕事してきた戸建ての経験を生かして マンションでも木に囲まれた住み居心地の良い暮らしが出来れば…。そこに耐震性が高く、生活するのに便利の良いマンションでそんな暮らし方を再現できるのなら将来自分達もそんな所に住み替えたい。

意外と同じ想いの方も多いはず…(見学会で無垢材の家具をそろえて新建材に抵抗していますという意見もお聞きしました。)
そんな方たちの夢の暮らしづくりをお手伝いできるのでは?

 

そういう想いから、木のマンションリノベーションを学び、知識、経験のある先輩や仲間と新しい仕事に挑戦をはじめました。

 

いざ、学び始めると きちんと遮音の知識を持って工事をすれば、床に無垢材を使用することが可能になりマンションでも本物の木のぬくもりを素肌で感じることが出来ます。

 

構造などにもよりますが、機能性や空気の流れを考えて暮らしやすい間取りへの変更も出来るので、心地よい平屋のような暮らし方への可能性を感じています。

 

今回見学会が行われる『城下町ベジタブルベース』のお施主様も前回の見学会でご縁が始まり、私達の想いに共感していただき「木のマンションリノベーション」がスタートしました。

 

また 私自身造り手側でもあるのですが、戸建でもマンションでも一棟一棟ていねいに手仕事に携わる楽しさとやりがいがあります。

 

そして近年職人も高齢化が進み大工も不足と言われているので、少しでも若い職人さんに大工の魅力を伝えていきたいと思います。

 

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