木のマンションリノベーション工事日記 城下町ベジタブルベース編①
はじめに
前回のマンションリノベ工事日記は壁式構造の物件でしたが、今回の物件はラーメン構造の建物です。
ラーメン構造の場合、部屋を丸ごと解体しワンルーム空間にできるので間取りの自由度が壁式構造よりも高くなります。ラーメン工法マンションの物件数は壁式マンションよりも圧倒的に多いので、こちらの方がリノベーションの事例では参考になるの方が多いのではないでしょうか。
今回の物件に使用している設備、二重床、仕上げ材料などはカミヤスタイルの共通として前回とほぼ同じです。しかし構造の違いによる工事の進め方、空間の使い方には違う面もあります。ご自分お住まいの構造に合わせて記事を参考にして頂ければ嬉しく思います。
ラーメン構造と壁式構造の違いについてはこちらをお読み下さい。
ラーメン構造と壁式構造の違いについてはこちらをお読み下さい。→マンション構造の話
工事開始前
今回、お客様のご希望で解体工事前に神主さんにお祓いをお願いしました。みなさんも戸建の住宅で※地鎮祭を行っているところを一度は見かけたことあると思いますが、今回は地鎮祭ではなく、※解体祭になります。
※地鎮祭 土木工事や建築などで工事を初める前に行う、その土地の守護神(鎮守神)を祀り、土地を利用させてもらうことの許しを得るおまつり。
※解体祭 古くなった建物を壊すにあたって建物を祓い清め、これまで長年にわたり、何事もなく無事に過ごさせていただいた感謝の気持ちを表します。 そして、取り壊しの事情を奉告し、また、お許しをいただき、解体工事がすみやかに無地に終了するように祈願するおまつり。
マンションリノベは建物を壊すわけではないので、工事前のお祓いは必ず行わなければならないものではありません。しかし、新しい住まいづくりを始めるという気持ちの区切りと共に、現場で工事に携わる皆の安全を祈願して頂けたことは大変ありがたかったです。
当日は晴天に恵まれた日になり、尾張猿田彦神社の神主さんに丁寧にお祓いして頂きました。私も立ち合わせて頂きましたが、何度お祓いを受けても毎回身が引き締まります。
工事開始前 最も大切なこと、近隣への挨拶
マンションリノベーション工事で最も大切なことは近隣の皆様へのご挨拶です。
リフォームの工事など数日で終わる工事でしたら住人同士お互い様で済む場合もあるかもしれませんが、木のマンションリノベーションは工期が長期になるので各住戸に工事のご説明、ご挨拶を必ずします。
今回は工事直前に行われた管理組合会議に、施主様と参加させて頂き工事のご挨拶をさせてもらいました。しかし、組合会議に全住戸の方が出席されている訳ではないので、後日各お部屋を訪問し工事のご挨拶、ご説明を再度させて頂きました(今回の物件は全住戸訪問してのご挨拶が十分可能な住戸数でした)
マンションは各部屋がコンクリートの躯体で繋がっていますので気をつけて作業をしていても、振動や音がどうしても伝わってしまいます。また、途中の作業で大きな音や振動が出ることが予想される工事が出てくる段階が必ずあります。
大きな振動や音がしたら他の住人の方は現場を見ている訳ではないので、どのような作業をしているか不安になります。
大きな音や振動が出る作業の場合その都度、予定工事日前に再度各お部屋にご案内のチラシを入れさせて頂き作業開始終了時間、予定している作業の内容をお伝えしています。
工務店は仕事が終われば現場を離れますが、その後に居住するのはお客様です。せっかくリノベしたのに近隣の皆様との関係性を悪くしてしまい、台無しなんてことになったら本末転倒です。
解体工事の事前準備 ライフラインの切断
解体工事に入る前に事前の準備、ライフラインの切断です、これらの作業は信頼する業者さん達にいつもお願いしてます。
事前にリノベーションの図面はお渡ししていますが、業者さんも達もこの時に初めて工事物件に来るので、下見を兼ねて作業をしていきます。
解体作業をしているとその当時使用していた建材で時間の流れを感じます、また同じ年代の物件でも工事方法など違い見ていると面白いです。今回は前回と同年代の物件でしたが水道配管が違いました。今回のベジタブルベースでは水は※ポリ塩化ビニル菅、湯は※被覆銅管でしたこの時代の定番の配管方法です。
※ポリ塩化ビニル菅(塩ビパイプ)
硬質の塩化ビニル樹脂でできた配管資材です。鉄管と違い、抵抗が少ないため流体の流量が多く、腐食に強いため、通気、給排水用の管として広く用いられています。
※被覆銅管
銅菅に塩化ビニルやポリエチレンを巻き断熱したもの、耐食性、加工性に優れている。
しかし前回の「これからの暮らしをつむぐ家」は今の水道配管工事で使用しているものと同じ※架橋ポリ菅 ※さや菅ヘッダー工法が使われていました。本当に初期の出たて頃ですね。
※架橋ポリ菅
耐熱、耐寒性が良く、また曲げに強くて、施工性がいい水道用合成樹脂菅。現在の水道配管の主流になります。
※さや菅ヘッダー工法
給水・給湯の配管方式のひとつで、さや管に、樹脂製の給水管を通して二重にすることで、耐久性を向上させている。樹脂製の給水管の寿命が30年以上、さや管の寿命が60年以上と言われ、将来、樹脂管の交換が必要になったとしても、壁や天井を壊さずに交換できることが最大の利点。また、さや管による断熱効果が高いため、結露がおきにくく、保温効果もある。その他、樹脂管には継ぎ目がなく、水漏れもしにくい。ヘッダー工法とは、給水・給湯をヘッダーと呼ばれる分配装置から、各給水栓に給水・給湯する方式。途中で分岐していないので、複数ヵ所の水栓を同時に使用しても、水量があまり変化することなく使用できるのが利点。
警報システムの撤去
ライフラインの撤去の際、最も気をつけているのが警報システムです。戸建と違い集合住宅のマンションは火災などの警報装置が全戸繋がっており、エラーでシステムが作動しないように撤去していきます。
取り外した機器はリノベ後に再使用するので、梱包して保管します。
取り外し時に気をつけていることは、必ず配線の写真を撮っておくこと。こうすれば再設置時に迷うことは少なくなります。
ですがマンションは新しい物件になるにつれ、火災報知器、セキュリティーシステム高度になっていきます。その場合、管理組合に問い合わせをして指定専門業者さんに取り外しと再設置をお願いしています。
その他、準備段階で確認しておく事
先行の準備段階でその他、便器、洗濯パンなども外していくのですが、その時に床下など見れなかった部分が一部見られるようになります。
この時は床下の状態が見られる機会なので、必ずパイプシャフトの状態を確認しておきます。解体前の想定と違えば図面の修正にとりかかります。
マンションリノベーションは図面作成時に躯体構造、パイプシャフト部分を図面で確認するか、もしくは見る場所が限られた状態でしか計画することができません。しかもその竣工図面が実際の状態とは違う場合があるなんてことが日常茶飯事です。
だからこそ進捗状況ごとに図面と現場との確認や修正が欠かせないものとなりますが、ひとつひとつの手順を踏んで進めれば、安心して工事を進めることができるのです。
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