木のマンションリノベーション工事日記④ 城下町ベジタブルベース 解体後のチェックと墨出し

前回のブログはこちらから→木のマンションリノベーション 工事日記③  城下町ベジタブルベース 解体工事のつづき

 

解体後のチェックからスタート

 

解体工事が終わるとそれまで見ることが出来なかった、建物の躯体(梁、壁、天井、床の建物構造体)があらわになります。

 

部屋内部の躯体は自分の物と思いがちですが、これは住人全員の共有財産。この機会にヒビや割れなどの異変がないか全体をチェックしていきます。

 

とても綺麗な躯体、もちろん今回のベジタブルベースも問題無しです。

 

また、「配管などの水漏れチェック、パイプシャフトが外れていないか」などもこの際に点検しておきます。

 

もし、マンションリノベーションをされる方はこの段階をご自身の目で確認しておくと、リノベーション後も安心して暮らせるのではないかと思います。

 

この時に万が一の異変があれば、管理組合に報告→修繕ということになります。この場合、元々の不具合であれば管理組合負担による修理となります。

 

今回の城下町ベジタブルベースのは、仕上げが綺麗な躯体で丁寧に造られていて、垂直、水平の通りも良かったです。

 

もちろん何も異常はありませんでした。

 

ちなみに、みなさんマンションの壁は縦も横も真っ直ぐだと思い込んでいる方が多いと思いますが・・・(私もマンションリノベーションをはじめるまでそう思ってました。)

 

残念ながらそうではないんですね、物件による躯体のコンクリート打ち込みの精度差がとても大きい。壁や梁の面も場所によっては数センチメートルの差があることも普通にあります。線や面が微妙にカーブしていたり、波打ったりするのです。

 

この精度の差が、仕上げ工事の際に大きく関係してくるのです。

 

図面を読み込んで墨出し

 

躯体に問題無ければ、次は図面上の基準線を床に描き写していきます。

 

ここで床に描き写した墨(線)がこれからの部屋造りの全ての基準となるので気が抜けません。

 

また、キチンとした墨出しをしておけば、問題になる部分が事前にわかるので、特に時間をかけて丁寧に行っていきます。

 

墨出し用の図面を見ながら寸法出しをしているところ、特に基準墨は重要!リノベでは様々な定規を使います。真中の90度定規は1mの大きさ!

 

もう一つ、お伝えしたいのは「しっかりした図面を作成してないと墨出しはできないということ。」

 

設計図面は全ての工程の道筋となるものなので、しっかりしたものを作成して下さい。もちろん現場では図面と食い違うことも多々起こりますが、そこは今までの経験でカバーしていきます。

 

調査可能な情報を総動員して設計図面をつくっておけば、ある程度事前にあやしい箇所が特定しておけます。

 

道筋がしっかりしていれば想定外のことが起こっても、ある程度は修正がきくのです。

 

「まずは良い計画図面から」

 

それが良い住まい、良い暮らしをつくる基本となると考えています。

 

以前のブログ→木のマンションリノベーション・有料のプランニングのお話。

 

 

レーザー測定器で垂直線を出しているところ、機械の測定精度は10mで±1mm。カミヤスタイルでは測定器2台使用して家づくりをしています。

 

次に行う床下地工事の前の、PS HRーC(除湿型放射冷暖房)の配管、電気線の取り出し口、水道の給水、排水管の位置出しも行います。

 

現場写真に現状の寸法を書き写したところ、配管周り(新しくする前)なので特に念入りに採寸します。

 

最近はタブレットを現場に持ち込んでいます。写真に寸法を書き込めば、自分も現場から帰った後も確認しやすいし、業者さんにも分かりやすいですよね。

 

また、現場に来る業者さんに事前に情報を送ることで、あらかじめ現場の状況を把握してもらい材料の段取りに役立ててもらえます。そうして、できるだけ二度手間にならないように心掛けています。

 

「やっぱりあったアクシデント!」

 

墨出しをしているとユニットバスの脚、排水部分の高さ、トイレ排水管の配管の高さが問題となることがわかりました。

 

フローリングが※モルタル材への床直接張りだったので、想定よりも床下地の位置が高く(80〜90ミリほど)、このまま施工を進めると配管が高すぎて、床高さが計画と変わってしまいます。

 

※モルタル 砂とセメント、水とを練り混ぜて作る建築材料。ペースト状で施工性が良いため、仕上げ材や目地材、躯体の調整に多く用いられる。

 

墨出し用の図面。今回図面のここの部分が問題ありでした。

 

実際の現場状況。想定よりもフローリングの直貼り(コンクリートに直接フローリングを貼る方法)部分が多かったのです。

 

 

トイレ排水管の位置を表したところ、点線内側部分が排水菅に干渉してしまいます。

 

対策を考える

 

配管部分の床を下げて規定の配管高さにしなければなりません、それをするには「再度床を解体して下げるしかない。」

 

今回は床の下地がモルタル下地だったので最小限に解体して対処出来ました。

 

モルタル下地は躯体とは別で鉄筋も入っていません。あくまで床調整の下地なので、解体しても何も問題ないんです。

 

ですが、解体は再度住民の皆様にご迷惑をお掛けする工事。事前に解体日、時間をチラシでお知らせしてから工事となりました。

 

これも、しっかりした図面で墨出して位置決めすることで、解体も最小限で行えるのです。

 

一部再解体、修正する

 

まともにハツリ工事をすると、とんでもない音と振動が出ます。今回は先行してカッターで切れ目を入れてから、短時間でハツリ工事を終える計画としました。

 

コンクリートカッターを使用すると粉塵が大量に発生するので、集塵機は必須です!

 

出来るだけ音を出さないように先行して切れ目を入れます、物凄い埃が出るので、もちろん集塵機を接続は必須です。

 

 

サイの目に切れ目を入れたところ。

 

先行して切れ目を入れてあるので、ハツリ機で簡単に壊れました。解体したこの部分は建物の躯体本体ではありません。

 

問題解決

 

今回の修正解体は半日ほどで終了しました。

 

マンションリノベーションは解体前に今までの経験から、こうだろうなと想定して図面を作成しているので、全てが思った通りに進むということの方が珍しいのかもしれません。

 

今回は対処できる範囲でしたので図面通り工事が進みますが、解体後の現場の状況から、どうしても計画が無理な場合、工務店も施主もプランの変更、図面修正がある場合があることを頭の隅に入れておかなければなりません。

 

しかし、このことはマンションのリノベーションに限ったことでありません。

 

実は戸建住宅も同様で全てのリフォーム、リノベーションも同じなのです。それ故に竣工図での確認、解体前の現場の寸法取りをしっかり行い、根拠のある図面を作成しておくことが大切なのです。

 

 

無事に問題解決、清掃して完了です。

 

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カミヤスタイルは、愛知県刈谷市にあるつくり手の顔がきちんと見える小さな工務店です。

お客様の大切な住まいを時間をかけて、一棟一棟丁寧に造っています。

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